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ゆるふわ大学生ゴリラの15時

デザインを学んだり、経営を学んだりするゴリラです。京都府北部と京都市内に出没。

8月23日 明日が夏の終わり

 明日、市内に戻る。 それが寂しいので、僕は今日はやりたいことをしようと思い、午後は掃除をサボって友人とサイクリングした。坂道を自転車で駆け下りる。少し高めの峰に雲が影を落とし、広く開けた空はその手に抱く雄大な雲を余すことなく僕らに見せつけた。夏の終わりの晴空は、日差しの弱まりととも大小の雲が多く生まれ、空は淡い青を映す。いつしかツクツクボウシだけが鳴く。過ごした夏はいつしか僕らの肌から遠ざかり、風に吹かれるようにどこかに飛んで行ってしまったようだ。その残り香につられるように、僕らは自転車を漕いだ。萌える緑のなだらかな丘陵、果てなく広がる田園、遠くに見える平地の街並み、そのそれぞれに雲の影が動く様を眺めていた。自転車は、日差しと日陰を渡り、空はそのたびに顔色を変えた。いつしか見慣れていたこの景色は、別れの今日は穏やかな光を帯びていた。初めてここを駆けた頃を思い出す。強すぎる日差しが正面から僕を照らし、前を走る誰かが振り返りもせず立ち漕ぎを始める。田と田を渡る広めの道は、遮るもののない日差しを精一杯に送っていたが、いまでは涼しい風を山から送ってくれる。下り坂を駆ける。僕は山が一つ一つ、全く表情の違うことに気づく。丘陵の角度、木の種類、その木一つ一つの形。街よりもよほど、山とそれを遮らない田に囲まれた景色はとおり過ぎるほどに見せる色を変えた。その色の暖かさに、頬はいつも綻んでいた。
 

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 かつての拠点だった婦人の家の近くに向かう。何度も走った景色の中にも、やはり季節の移り変わりを感じた。運動公園に自転車を停める。ここで花火を見たことを思い出す。それと全く変わらない景色、だけど変わる景色。きっと来年も再来年も、ここから見る景色は変わらないのだろうが、きっと今日と明日では全然違うのだ。アキアカネが飛び交う空。寝転べるベンチで眩しい空を見上げると、弱い風に押される雲が、名残惜しそうにほんの少しずつだけ姿を変えていく。時間のない僕らは、そんな素敵な午後の昼寝を早めに切り上げて、芝生を駆け出した。飛び交うアキアカネを、友人が麦わら帽子で捕まえようと走る。そううまくはいかない。代わりに捕まえようと、彼女から麦わら帽子を受け取り、僕も走る。帽子としての仕事を終えた麦わら帽子は、僕の手の中でハタハタと揺れるだけだ。まして捕まえれるはずもない。少し離れた友人に麦わら帽子を投げると、全く届かなかった。二人の真ん中に落ちた麦わら帽子。日の落ちてきた8月末の与謝野は涼しい風が吹き始ていた。
 

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 ターザンロープではしゃいでから急いで川へ向かう。川は、入ると、二人以外の音を消した。橋の下から控えめに見える空、強く水面を照らす日差しに、訳もなく心がくすぐられる。輝く水面に冷たい足元は、いつしか遠ざかりつつあった夏の感触を、ありありと思い出させてくれた。